初めての酒蔵見学 取材報告2    【by Etuko】

栃尾市 越銘醸株式会社

第 5 話

     
 ちなみに精米歩合60%台の五百万石を水分量31%にするためには約20分かかります。大吟醸などに使用する精米歩合40%程度の山田錦は9〜11分程度だそうです。
 酒造りにおいてデーターとして重要なものはそのほとんどが重量を計ることで計算します。
 最初に玄米の重量を計っておいて精米機にかけた後に何キロになったかで精米歩合の数字が出てきます。
 具体的に数字を上げて説明しましょう。100キロの玄米を精米機にかけて60キロになった。これで精米歩合60%となり、この精米機では米の種類や温度、回転数など様々な要因によりますが15〜16時間かかるということになるのです。
 同様に吸水率というのは洗米前のお米の重量を計っておいて、洗米、浸漬、水切り後の重量を計り、増えた分が吸水した水分ということなり、洗米前を100として増加分を%でいうことになります。
 例えば、洗米前の100キロのお米が浸漬後に130キロになったら吸水率30%となります。この場合も米の種類や温度、湿度、水温など色々な要因によって変わりますが、今回は20分という時間がかかると言うことになるのです。
 このようにその都度、作業の前と後で重量が変わった分が仕事をした量と見なすことになるのです。
 私たちが見学しているときはほとんどその辺の所までは気が付きませんが、決して表に見える華やかな部分の仕事だけではなく、本当に厳密に仕事をしているのです。
 それが杜氏を筆頭に、さも簡単そうに仕事をしているように見える、実は経験を積んだ職人集団と言うことになるのです。
 浸漬が終わったお米は水から上げて、これ以上水分を吸わないように水切りをします。
    
 その後、明日のお米を蒸す作業までこのお米はお休みとなります。この間に主にお米の外側にしみ込んだ水分がお米の中で均等に染み渡ることになります。    

    
 ここではお米の量が少ない場合は5キロ単位でお米を計りますが、通常は計算しやすいように10キロのお米を入れます。
 ザルが12個という事は合計120キロのお米を浸漬したことになります。確かに計算しやすいですね。
 浸漬の終わったお米はまるで真っ白なビーズです。
   
 これらのお米は種類や精米歩合などにより用途が違いますからそれぞれ別々のタンクに一時的に移されて明日の蒸しまで一休み。
    
お休み中のお米を覗いてみましょう。
    
 真っ白なお米がた〜くさん入っていてとてもきれいです。でもさすがにこの段階では、いかに私でも食べたいなんて思いませんよ〜だ。 なかなか硬いお話しになっていますが、そろそろ私の食いしん坊な所が出てきても良いはずだと読者の方はご存じのようですが、今回はまだまだ。
 見てください。こんなに真剣に取材している様子を。
    
 取材を続けます。浸漬タンクの脇の壁にプラスチックやアルミで出来た樽のような容器がおいてありました。円筒形で一斗(18リットル)缶を一回り大きくしたような大きさで、その上部に「にぎり」のような棒が付いています。
 早速これは何ですか?と質問させて頂きました。どうです。いろんな所に気が付くようになり、成長したなぁと思いませんか?
    …第6話につづく…

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