初めての酒蔵見学 取材報告2    【by Etuko】

栃尾市 越銘醸株式会社

第 4 話

 普通の酒蔵では品評会に出品する大吟醸酒でも精米歩合は40〜42%なのに、ここの大吟醸酒は、更にお米を磨いて38%にしています。常に他よりは良いものを提供したいというプライドの一端がこんな所にも顔を出しています。
 さて、精米したばかりのお米はその時の摩擦熱でどうしてもお米の中の水分が減少してしまいます。そこで精米が終わったお米は数日間放置して空気中の湿度により自然に水分を復活させてあげます。そしてようやく次の工程に移ることが出来ます。
 杜氏の説明を聞いていると休憩が終わったのか蔵人がやって来て作業を始めました。
 杜氏が手に持って説明してくれていた精米済みのお米を何かするようです。
      
 お米を台の端からその向こう側に移しているようです。その先はどうなっているのかもう少し近づいてみましょう。
     
 ドラム缶を半分に切ったような円筒形の容器にポンプがつなげてあります。
 この容器の中に水が入っていて、その中にお米を流し入れています。するとポンプの起こす水流でお米が洗われると同時にお米が水と一緒に太いホースに吸い込まれるように流れていきます。ここが洗米の工程となります。
    
 それではお米の流れに従って次の工程に行きましょう。ホースはさっき通ってきた通路に従って張られています。私たちもその通路を戻るように歩いていきます。
 ホースは最初の作業所に来ていました。作業所のまん中にはお米を受け止める金属製の大きなザルがいくつも置いてありました。

    
 大体、直径50cm、深さが40cmくらいでしょうか。ステンレス製で、きれいに手入れがしてあってピカピカしています。
 水流で運ばれてきたお米がホースの先から勢いよく流れ出してきます。それを蔵人がザルで受けます。
     
 その様子を見ていると先程の洗米の所で決まった量のお米を入れ、その1回分ずつをザルで受けるようです。
 見ている間にお米の入ったザルの数が増えていきます。次は浸漬の工程です。水で洗われたお米はストップウォッチで時間を計りながら人海戦術でザルごと水に漬けてお米に水分を吸収させます。
    
 ちょうど御飯を炊くときと同じようにお米をといで水に浸してお米に水分を吸収させてから焚くのと同じ事ですね。
 酒造りの場合はここが重要なポイントで水分が少ないと蒸しても硬く麹菌が十分に繁殖しなかったり発酵の時に硬くて溶けずに十分に発酵の役に立たなかったりします。また、水分が多いとベタベタして早く溶けすぎたり、麹菌が予定通りに繁殖しなかったりで、とても大切な部分としてストップウオッチで計測して浸漬時間を厳密に計る、いわゆる限定吸水を行うのだそうです。
 当然、その日の気温、湿度、水温、そしてお米の水分量など毎日仕事を始めるときに確認して、経験と勘を駆使して、まず最初に少量のお米でリハーサルとしてやってみて、浸漬時間を決定し、それから本番として作業にかかるのだそうです。

    …第5話につづく…

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