こだわりの酒蔵見学 取材報告2  (by えつこ)

新潟県弥彦村  弥彦酒造

第 8 話

 さて、次は仕込から21日たった特別純米酒のタンクです。
    
 泡はまだらでバニラや甘いリンゴの香りが鼻をくすぐります。
 通常、お酒は26日程度で出来上がりますが、ここのお酒は全て低温発酵をしていますので完成はまだまだ先ですね。
 次は本醸造生酒用のタンクで仕込み後12日のものです。
    
 香りを嗅ごうとタンクの縁で手で仰ぐようにしてタンク上部の空気を顔に近づけました。
 グウェ、ゲホゲホ・・・
 タンサンガスで息ができません。盛んに発酵しているタンクは当然タンサンガスも活発に造り出していて思わずむせてしまいました。
 香りどころではありません。あわてて次のタンクに。
 次は本醸造で7日目のタンクです。
    
盛んに発酵しているのでいくらか泡も見えます。サイダーのような大きな泡とクリームのような細かな泡が入り交じっています。それでも液表面を1cm覆う程度です。
 色はややクリーム色がかった白色で香りはほとんどありません。
    
 次に隣の蔵の大吟醸の仕込をおこなっていたタンクを見せてもらいました。これはハシゴを使わなくても私の身長と同じくらいの小さなタンクです。容量は2341リットル。一昨年導入したサーマルタンクです。これはタンクの内部が2重構造になっていて、その隙間に配管が回っていて、冷媒ガスで冷却するのだそうです。

 ですから厳密な温度設定ができて思い通りにそして安心して発酵を調整できるのだそうです。簡単に言えばオープン型の冷蔵庫ですね。
 次にやや大きめのサーマルタンク。これは昨年導入し、しくみは同じ。
      
 大吟醸などの最高級酒を造るときは全て手造りです。ですから少量しかできず手間が掛かりますが、その方が思いのままに仕込むことができます。ですから段々小さなタンクで仕込むようになってきて、昔使っていた大型のタンクはもう不要になってしまいました。
 えっ、大吟醸のタンクの中は見ないのかって?最初に触れたように昨日搾りをしたのでこの中には入っていません。
 今年の大吟醸酒はサーマルタンクの性能をフルに利用して思いっきり低温で仕込んでみたと言うことです。
 大吟醸と言えば10℃以下で仕込みますが今回は最高でも8〜9℃までしか温度を上げず、その代わりに日数が41日もかかったそうです。せっかくの高性能のタンクですから仕込が終わってタンクが空けばすぐに次の仕込みに使えます。それを長くふさいでおくというのはなんて不経済な事でしょう。でも精一杯のチャレンジをしたいと言うことであえてそのようにしてみたそうです。小さな蔵がゆえにできることですね。
 さて、仕込み蔵から出ると隣はお酒を搾る場所です。そこに一斗瓶が置いてありました。
    
 もしやこれは昨日搾った大吟醸酒ではありませんか。
 ピンポーン。大正解。
 1,2,3・・・全部で7本の瓶がありました。さっそくそのにごり具合から順番を推測しようとしましたが瓶のガラスが厚くて中の様子がよく見えません。
    …第9話につづく…

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