初めての酒蔵見学 取材報告 第2話  【by Etuko】

栃尾市 越銘醸株式会社

 うとう蔵に入ります。入り口には、しめ縄と年代物の看板。この看板は、昭和9年隣り合った2つの酒蔵、「越の鶴」の山城屋と「越の川」の山家屋が合併した時の物です。

    
 の中に入ると、精米したお米がざるに入っていました。このお米は隣の自家精米機で精米し、調湿して、杜氏のかけ声で水に浸漬したばかりの五百万石という種類のお米です。
 これは新潟県産の酒造好適米で、この蔵では中でも地元栃尾の山の水のきれいな田んぼで育てられたお米だけを使用しているそうです。

 一般に酒造好適米は食べてもおいしくなく食用米と比べると粒が大きくて芯白が真ん中にあって大きい物が良いそうです。
 このお米は吟醸酒を造るための物で精米歩合40%つまり1粒のお米の外側を60%も削り取った物です。
 ちなみに、大吟醸酒は日本で最高の酒造好適米である山田錦というお米を精米歩合38%で使用しているそうです。
 まあ!何と贅沢なんでしょう。
まるで、真っ白なビーズのようでした。


「シュー」そうです。これが先ほどからものすごい音で聞こえていた音の正体、甑(こしき)です。こんな大きな物で、お米を蒸すのだそうです。
 半地下には大人が5,6人は入れそうな大きなお釜があり、その上に大きなせいろのような甑がのっています。
 勢いよく吹き出した蒸気で、もうすぐお米が蒸し上がります。
 ところで、第1話で出てきた「甑倒し」とは、このお化けせいろを倒す。すなわち、お米を蒸す作業を終えるということだそうです。
 これは、その年の酒造りにおいて最も重労働の作業が終わり、その労をねぎらう意味で、昔は栃尾芸者を総揚げして、蔵人達が大宴会をしたと言うことです。


 は、上の甑で蒸し上がったお米を冷却機に移す工程です。
 甑の中に蔵人が入り、大きな木のスコップのような物でお米をすくいだします。
 そのお米はベルトコンベアーのようになっている冷却機で冷やされて、麹室(こうじむろ)へ2割、残りを掛米として発酵タンクへと運ばれます。
 
   
「お米の蒸し上がりはどうかな?」と蔵人の厳しい目が光ります。
 「こうやって手のひらで押しひねり、昔はひねり餅と言っておやつにしたものです。」と浅野専務は楽しそうに教えてくれました。
 実は、私もここでひとつまみ、蒸米を「ひねり餅」にしてパクリ…といただきました。

 …第3話につづく…

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