初めてのウイスキー蒸留所 報告記  (by えつこ)

山梨県白州町  サントリー白州蒸留所

第 10 話

 学コースの続きに戻りましょう。このゲストハウスの中に試飲会場があります。カウンターで「白州」というモルトウイスキーを小さなストレート用グラスに入れてもらってテーブルに着きます。ここでは主に商品の説明で見学者は説明などほとんどそっちのけでウイスキーを飲んでいます。
 おかわり用のウイスキーとして「響」というブレンデッドウイスキーもありました。
 運転手やお酒の飲めない人はジュースやミネラルウォーターが飲めるように準備してあります。
 ここではウイスキーの他にきれいな水を利用してミネラルウォーター「南アルプスの天然水」もつくっているのです。ほとんど知っている人はないと思いますがウイスキー製造見学コースの他にミネラルウォーター製造見学コースもあるのです。
 さあ、私たちは両方のウイスキーを準備してきき酒です。まずストレートで香りをきいてみました。白州の香りはモルトウイスキーらしいスモーキーフレーバー。響の方は柔らかく甘さを感じる香りです。
 続いてそのウイスキーにミネラルウォーターを同量混ぜて味見です。
 主人曰く、プロのバーテンダーはテイスティングするときにはウイスキー1に対してミネラルウォーター1の割合でテイスティングをします。ストレートではアルコール分が強すぎて香りや味がわかりにくくなることを防ぐ意味もあるのです。そうすると、40度のウイスキーが20度になり、華やかな香味をもっとも堪能することができると教えてくれました。ちなみに白州の強い個性が少しはおとなしくなり、何かスモモのようなフルーティーさを感じたような気がしましたし。また、響の方は柔らかなバランスの良さ、口当たりがよく甘さがおいしく感じられました。

(主人注釈:貯蔵年数について雑学をひとつご紹介しましょう。ウイスキーのラベルに表記されている「〜年もの」という年数は、その製品に使用したモルトウイスキー、グレーンウイスキーの中でも、貯蔵年数のもっとも短い原酒の酒齢を示しています。
 例えば「12年」と表示されていれば、用いられた原酒の貯蔵期間が最低12年であることを意味しているということ。もう少しかみ砕いていうと例えば12年ものの原酒と17年ものの原酒、25年ものの原酒をブレンドしてできたウイスキーは最低熟成年数の12年としか表示できないということなのです。
 また、モルトウイスキーは十分説明したと思いますがもう一つグレーンウイスキーについて少し説明します。
 グレーンウイスキーは原料はトウモロコシ。それに麦芽を少し加えてその糖化酵素の働きでトウモロコシのデンプンを糖に変えてもろみをつくります。また、蒸留に使う機械も違っていて連続式蒸留器(パテントスチル)という大型のタワー型の蒸留器を使います。1番目のタワーで蒸留と冷却をし、次のタワーでも同じようにします。
 連続的につなげて行うためにアルコール度数97度くらいのほとんど無味無臭のアルコールがつくられます。また、できたグレーンウイスキーは、主にブレンド用に使われるために単体として商品になることはほとんどありません。しかし、その味は甘みがありとても柔らかです。きっと製品化されれば売れると思うのですが・・・
 ブレンデッドウイスキーはこのモルトとグレーンのウイスキーをブレンドしたものなのです。決してブレンドは悪いことではなく飲みやすいウイスキーにするにはこれが一番だと思います。)
 また、パンフレットにこんな雑学も書いてありました。ウイスキーの熟成年数は人間でいえば4歳にあたり、酒齢8年は30代の働き盛りで個性も確立して味わいが深まる頃。酒齢10年で40歳。味わいに風格が出始め、12年では円熟味も出てきて人生の収穫期を迎える48歳。豊かでふくらみのある味わいです。15年ものは馥郁、重厚たる人格が味わい深い60歳の紳士。さらに酒齢25年ともなると実に100歳歳ということになります。
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