おしゃれな欧風ワイン蔵 取材報告  (by えつこ)

新潟県巻町  カーブドッチ ワイナリ

第 14 話

シャンパンとはフランスのシャンパーニュ地方の特定の地域の特定の葡萄品種を使い、生産条件や醸造、栽培などのA.O.C.法において明確化されている法律に基づいて造られる発泡性ワインの事をいいます。それ以外の場所で造られた発泡性ワインはシャンパンという名前では呼んではいけないことになっています。そういう場合は一般にスパークリングワインと呼ぶことになります。
   
見えますか?樽の奥に黒いかたまりがあるように見えますね。あれがスパークリングワインを置いてあるところです。ちょうど店頭の置き看板のように2枚の板が向かい合わせの形で立て掛けてあります。その板にビンの首まで入る穴が開いていて、そこに逆さまに突っ込んであるのです。
本物のシャンパンは通常のワインのように仕込み、完成させます。この段階では発泡性はなく通常のワインと同じです。
いわゆるこれが1次発酵です。
出来た複数のワインをブレンドして、その蔵の持つワインの味を造ります。30種類ものワインがブレンドされることも珍しくないといいます。ブレンド後、少量の酵母と、砂糖の一種のショ糖を加えビンに詰められます。補糖が多いと発泡量も多くなります。ここからが2次発酵のスタートです。補糖後、王冠で密閉され、10度ほどの温度で2次発酵を行います。加えられたショ糖が数ヶ月間掛けてビン内で2酸化炭素とアルコールに変化し、シャンパンの泡立ちはこの期間に形成されます。2次発酵後、更に長期熟成させます。熟成させることで酵母は自己分解されタンパク質がワインに溶けだして独特の風味を加えると共に、泡持ちの良い性質が得られます。熟成が完成に向かうにつれ、酵母の死がいである澱が溜まってきます。それを取り除くため、ビンの口を斜め下向きに向け、数ヶ月間毎日8分の1づつ回転させ、徐々にビンを逆さまに立てていくのです。澱をビンの口部分に集めるためです。最後には、−16〜−18度の塩化カルシウムにビンの首部分を漬けて、澱の部分を凍らせます。開栓するとビン内の炭酸ガスの圧力で、凍らせた部分が飛び出し、澱が取り除かれます。

昔は、澱を取る作業は手作業で行っていた為、こぼれ落ちるロスが多く、ビンごとに一定ではありませんでした。シャンパンの瓶の首部分が金色や銀色の紙(フォイル)で覆われているものが多いのは、これらをカモフラージュする意味があり、その名残として今でもあのような外観なのです。最後には「門出のリキュール」と呼ばれる、リキュールを添加します。栓を仕直し、針金で補強をして完成となります。
ですからワインのビンが逆さまに立っているとシャンパンなのかなと思ったわけです。正確にはスパークリングワインと呼ぶこのシャンパンは、こちらでは主にケルナーなどのドイツ系の葡萄を使ったワインから造ります。
1次発酵が終わったケルナーワインはビンに入れられ、そこに砂糖と酵母を加え、栓をして2次発酵に入ります。発酵が始まると毎日1回、ビンを90度まわします。これを約2週間続けながら段々ビンの角度が急になるように穴があけられた板に順番に移していきます。その作業は慎重を極め、揺すらないようにしながらやるのだそうです。せっかく沈めたオリが舞い上がっては大変です。
ですから神経を使う仕事なのだそうです。最後にはビンの口の栓の所に数ミリのオリが沈みます。ここでは専門にスパークリングワインを造っているわけではないので口を凍らせるのではなく、手の早業で作業をするそうです。ビンを下向きのまま栓を抜くとビン内の炭酸ガスの勢いでワインが吹き出します。あっという間にオリが吹き飛んでしまい、ワインも吹き出します。すかさずワインをこれ以上捨ててしまわないように口を締めます。このようにして減った分は同様のスパークリングワインを補充して完成させるのだそうです。この早業は人の手によるものなので下手な人がやるとロスが大きく困ってしまうのだそうです。
さて、貯蔵されていたワインも最後には濾過をしてビンに詰められます。
その作業は撹拌タンクや圧搾機のあった建物の一部で行います。
   
いかがでしたでしょうか?ここまで製造工程順に編集してきましたが、次のショップのご紹介からは見学順に戻ります。
    …第15話につづく…

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