こだわりの酒蔵見学 取材報告2  (by えつこ)

新潟県弥彦村  弥彦酒造

第 12 話

 当社は吟醸酒や純米吟醸酒以上のお酒は全て日本で最高の酒造好適米である兵庫県特A地区の特上山田錦を100%使用しています。
 このお米は他の蔵では品評会に出品する大吟醸酒にしか使わないような非常に手に入りにくくまた、高価なお米です。
 また、特別純米酒は新潟県酒造業界の悲願だった県内産のお米で山田錦に引けを取らないお米として開発された越淡麗100%使用。そして特別本醸造ですら精米も50%以上とし、これは特定名称の表示では大吟醸酒の規格です。
 その他にも当社で公表している特徴としては粕歩合を高くしているということ。つまりお酒として製品化する量が少ないのです。全国的な一般酒では粕歩合が25%前後なのに対して当社では通常、普通酒でも50%近くを粕にしてしまいます。大吟醸酒クラスですと60%も粕にして、お酒として製品化するのは40%しかありません。
 ですから原料、手間、製品化における全てを考えると非常にコストパフォーマンスに優れたお酒ということになります。
 「多く石数を造らず、必ず精醸を期す」。これはの代々受け継がれてきた泉流醸造法の家訓です。
 代が変わっても昔から伝えられた伝統は守っていきたいですね。
 最後に突然、杜氏さんの本当に特別なご厚意で先程の鑑評会に出品するために一斗瓶に採った大吟醸生原酒を味見させていただくことになりました。
 きっとあの一斗瓶を眺めていた時、にごり具合などを確かめようとしてしつこく覗き込んでいた私の姿がまるでよだれを垂らさんばかりに眺めていたように見えたのでしょうか?
 そんなことはどうでもかまいません。
ありがたく試飲です。
 しぼりたての大吟醸酒は十分にその実力を開花させていません。ですから今、飲むなら7種類の中でも比較まとまっている7番目の「責め」のお酒が良いのではないかということで選んで飲ませていただきました。
 まず、色はほとんど無色透明。にごりも見えません。香りは上品でふくよか、甘いリンゴのフルーティーな香りがします。
 口に含むとまずふくよかな香りが口の中にパーッと広がります。そして驚いたことにお酒がトロリとするのです。こんな感触初めてです。原酒ですからアルコール度数が高いはずですがそういうトゲトゲしさはまったくありません。

 適度な甘さと充実感のある味わい。それでいて飲み込んだ後のスーッとなめらかな感じときれいに抜けていく余韻。これは弥彦酒造さんのお酒ではないんじゃないかと思うほど、どっしりしたお酒になっています。ちょっとビックリ。そして感激。
 どうしても搾りの最初の「あらばしり」や中間の「中取り」は時間がたたないと開花してこないということです。これからおいしくなるのでしょうね。楽しみですね。
 ここ弥彦酒造のお酒は控え目で、1杯目ではその良さがなかなかわかりにくいですが2杯、3杯と飲み進むうちにその実力が判ってくる。そんな上品な酒質が売り物です。
 弥彦のお酒ファン以外の方にもこの良さをお伝えできたらいいなと思った私でした。
 いかがでしたでしょうか。第2回目の弥彦酒造さんの蔵見学取材報告。
 初めての時とは雲泥の差でしょう。
 エッヘン。
 それではこれで・・・・・・・
 あっ、そうそう。ここ弥彦酒造さんでは昨年から夏場の暇な時期に蔵人さんのお仕事としてアイスクリームの製造を始めたそうです。そちらも少しご紹介しましょう。
 その場所は2階にありました。古い建物の割にはそこだけがきれいに改修されていてとても清潔です。
 部屋に入ると正面に業務用ですが小型のジェラード・マシンがありました。
    
 製造期間中は隣村の酪農家から直接その日の朝に搾ったばかりの生乳35リットルを仕入れ、このマシンで殺菌しジェラードにしてカップに詰めて主に弥彦神社付近のお土産屋さんに卸し、地域の特産物として販売しているのだそうです。
      
 その第1号の商品となったのが何と「大吟醸酒粕アイス」。
 現在では季節に応じてフレッシュな果物などを使ったバリエージョンも増え、なかなか好評だとか。
    …第13話につづく…

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