こだわりの酒蔵見学 取材報告2  (by えつこ)

新潟県弥彦村  弥彦酒造

第 6 話

 ここで再度温度を確認して更に重量を計測します。
 ここの床はこれ自体が計量器となっていて自動的に重量が表示されています。この数字をもとに浸漬処理後の重量と比較して水分含量を計算するのだそうです。
 甑に入れたお米は90kg。それがここでは120kg。つまり水分量35%になっているということです。麹菌が繁殖するのに適切な水分になっているか大事な確認です。
 しばらく見ていると今まで何となくもやもやしていた蒸し米がスッキリ、くっきりとしてきました。それはここの室温は33℃くらいありますので湯気が収まると同時に蒸し米内部の水分が表面まで均一に行きわたってきたからだと教えてくださいました。
 ここで再度、杜氏が麹菌を振りかけ始めました。
 えっ、さっき放冷機の所で麹菌を付けたはずですが?
 この蔵で使うお米は他に比べて非常に高度に磨きます。ですからお米の中の麹菌が繁殖するのに必要なカリウムやカルシウムなどの有用成分が少なく、また、仕込み水の中にもその成分が少ないために再度、麹菌を振りかけて強い麹にするのだそうです。
    
 麹菌を振りかけた後、丁寧にお米と混ぜ合わせながら床の中央に寄せていきます。
    
 最初はどうしても菌の繁殖力が弱いので、暖かく保つために何重にもネルのような布をかけて大切に見守ります。
    
 大切な赤ちゃん、そんな感じに見えませんか?
 このまま一昼夜、積んだままにして置いて切り返しはしないそうです。切り返しをして温度を下げるよりは、このまま暖かくしておいた方がこちらの場合は良いのだそうです。

 次に同じ麹室の手前の部屋に移りました。そこにはピカピカのステンレス製の自動製麹機がありました。
    
 前回ここには回転式製麹機があったのですが新しい機械に入れ替えたそうです。
 機械の内部は3つの区画に分かれていて1区画50〜60kgで最大でその3倍の製造能力があるそうです。
 この機械は前日に床で造られた麹をこちらに移して更に菌の繁殖をさせるために使います。
 常時、温度を監視し麹の生成による熱の発生で温度が上がってくると自動的に設定温度まで風を送って冷却します。温度が上がらないときは機械の本体に付いている電熱線で温度を上げることができ、冷却する風もその風力と吹き出し口の調整で最適な均一温度になるように自動的に調整できるのだそうです。この機械のおかげで通常の仕込の場合は夜に泊まり込みをしなくても良くなったということです。       
       
 これがこの機械の制御板で大体3〜4時間ごとに36℃、40℃、42℃、43℃と設定してあり翌朝、出麹する前には15℃に下げるように入力してありました。
    
 それでは麹の様子を見させていただきましょう。白い麹菌がお米の表面にたくさん綿のように付いているのが見えます。良い麹というのは適度に内部まで麹菌が繁殖した「突き破精(ハゼ)麹」だと言われていますがここでは水が超軟水のため強い麹を用いなければならないので「総破精」と言って、蒸し米の表面と内部に十分に麹菌が繁殖した麹にしているのだそうです。
     …第7話につづく…

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