第2話

 ここに来るまで一度も止まることなくまっすぐに進んできたような気がします。最初から目的は決まっていたのですね。それはお酒を買うこと。
 ここには色々な全国の地酒が並んでいます。執事パパもそれらのお酒を手に取って何か難しいことを言っています。続いて今度はワインの売場です。ここでは大きな瓶から小さな瓶に取り分けて販売しているようです。これが俗に言う「量り売り」ということなのですね。ちょっとめずらしい光景なので乳母ママに少し様子を見させてもらいました。ウイスキーを始め焼酎、ワイン、リキュールと色々なお酒が量り売りされています。多分1つの大きな瓶が18リットルくらいでそれをお客様が大きさと形が違う様々な瓶に入れてもらっています。ちっちゃな瓶はとてもかわいらしく変わった格好をしている瓶もあります。おもしろいのでしばらく見ていました。
そして次は少し寒い部屋に入っていきます。そこにもワインがたくさん並んでいて、僕にはわかりませんがカードに名前と○がたくさん並んでいます。執事パパが唸っていたのが印象的でした。
ところが突然おもむろに執事パパがその中の1本を手に持って部屋の外に出て行くではありませんか。そして、その後、別の執事Sさんもワインを1本手に持ってレジに向かいました。
お買い上げです。
次に向かったのがチーズ売場。ここでは執事Nさんが臭いチーズをご指名。その他にも2個のチーズを買い込み、デパートの地下食品売場の視察は終了。
 いよいよホテルに向かいます。メトロポリタンは池袋駅西口から徒歩3分の場所。出口がたくさんあるためぐるりと少し歩きましたが迷うことなく目的のホテルに到着。でもみんな地理がよくわかっているようで僕以外はまわりをきょろきょろしていません。なぜみんなこんなに池袋駅の周辺に詳しいのか不思議に思いました。
これがホテルメトロポリタンです。
      


さっそく僕たちはチェックイン。このホテルは25階建てでロビーはクラシカルな中にモダンさが調和したような結構ステキなホテルです。
部屋も広めで、早速そのうちの1部屋に集合。先ほどのワインのきき酒です。1本はフランスワインでボルドー地区の5大シャトーの1つ、ポイヤック村のラフイット・ロートシルトのセカンドラベルのカリュア・ド・ラフイット・ロートシルト1998という赤ワインともう1本はチリのワインでサンタカロリーナ・カベルネ・ソーヴィニヨン2001です。
       
左が前者、右が後者です。早速栓を抜いてからおもむろにチーズを取り出し、手際よく小さく切り分けます。
チーズは臭い順にイタリア産ゴルゴンゾーラ・ピカンテ、フランス産山羊の乳のクリームチーズ、フランス産ベリーという白カビチーズです。
グラスを並べ、フランスワインから試飲を始めました。僕はもう少し時間をおいて、ワインが空気に触れてからの方が良いとは思いますがせっかちな執事たちはこらえ性がありません。
落ち着いた熟成香、深みとコクと渋味のある味わいなどと感想を言っています。
続いてチリワイン。やっぱり安い割には良いね。果実香が心地よくて適当に渋味がある。バランスも良いし価格の割にお買得という感じだねなどと聞こえてきます。そこへ途中で別行動をとっていた執事Kが帰ってきました。
さっそく他の執事たちが目配せをし、何を思ったかグラスを2つ準備してそれぞれに別のワインを注ぎ、瓶の方には紙袋をかぶせて見えないようにしています。
執事Kにテイスティングをさせようと言う魂胆です。突然のことで驚きながらも執事Kは両方を味見して、どんなワインがあるか知らないと答えられないと言いました。でも他の執事がとにかく価格が高いと思う方はどちらかと問いただすと執事Kの答えは「こっち」
 それは「チリワイン」でした。
        …第3話へつづく…

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