最新設備の酒蔵 取材報告  (by えつこ)

新潟県新潟市  高野酒造

第 14 話

 最新式の火入れ機は、これも優れもので熱交換機の原理で65度Cで10分加熱した後、冷やすときにも熱交換で、機械に入ってくるお酒を利用して35度Cまで冷やすという仕組みなのだそうです。ですから冷却水を使わなくてすむのだそうです。
 この火入れによる低温殺菌の考えはフランスの微生物学者パスツールがワインの腐造防止策として1865年に発表した「低温殺菌法」と同じですが日本酒造りでの火入れはその約300年も前から行われていたそうです。
 フーン。日本の発酵技術ってすごいんだなあと感心してしまいました。
 さすが国酒といわれる日本酒ですね。
 さて、これで新蔵の見学は無事終了し、続いて隣の貯蔵蔵を見学しに移動です。
 貯蔵蔵は100年以上たった、とても古い土蔵造りの蔵です。
 新蔵を造ったときに今まで通路で結ばれていた部分も壊してしまいましたので、その入口は土壁があらわになっています。
      
 それでは中に入ってみましょう。中はとても薄暗く照明も少ないようです。
 ただ、お酒を貯蔵するだけですからそんなに照明は必要ないとのことで、まったく、どこを見ても暗かったのでした。
 入ってすぐの所には貯蔵用のサーマルタンクがありました。これらの温度調節が出来るタンクは生酒の貯蔵に使われます。内部の温度は1度C以下に設定してあるとのこと。容量は7800リットルで8本のタンクが並んでいました。
    
 ちなみにこのようなタンクはいくら位するのか訪ねたら、大体1本200万円くらいだそうです。

 更に奥に進みます。ずっと貯蔵タンクが続いています。この中で最も大きなタンクはどれくらいの容量ですか?と訪ねたら、この箱形のタンクで56000リットルだそうです。
    
 そういえばと話は続きます。先日、新潟市の酒蔵紹介のVTR作りの人達が来て、いろいろビデオに収めていったそうですが、その時に、この部分が良いということで、並んでいるタンクを収録したそうですが、あまりにも暗いために、相当な数の照明器具を入れて大変だったということだそうです。
 また、この蔵自体は古いですが一部を仕切って冷蔵区画を作り、そこにもタンクが10本入っているそうです。
    
 そして、その区画を抜けるとまたタンクがあり、どこに何がどれくらいあるのか1回では暗くてわかりませんでした。
 さて、ようやく暗い貯蔵蔵から出てくるとそこに小屋のような建物が建っています。
 中にはタンクのような機械が1台。これが平成15年に発売を開始した焼酎の減圧真空蒸留器です。
    
 つまり日本酒だけでなく焼酎まで造ることになったのです。
 一般的な蒸留器というと弱いアルコール度数の醸造酒を加熱してアルコール蒸気を発生させます。その蒸気を冷やすことでアルコール度数の高い蒸留酒を造る常圧蒸留器ですが、この機械はタンク内部の気圧を下げることによりアルコール蒸気を発生させて蒸留酒を造り出す減圧蒸留器です。この方式ですと飲みやすさを優先したすっきりした焼酎になります。
 しかし、発生する蒸気が少なく、お酒が少ししか出来ません。
    …第15話につづく…

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