おいしいしょうゆ蔵取材報告 (by えつこ)

長岡市   株式会社 越のむらさき

第 3 話

こは先ほどの建物の中二階のような所。階段を上り始めると、何だか蒸し暑くなってきました。その室は、機械だけでほとんど場所をふさがれている様な狭い室で、その上天井も低いのです。主人なんて普通に立つと頭がつかえてしまうくらいでした。コンベアーで運ばれた蒸した大豆と挽き割られた小麦は、まずこの室へ運ばれて「盛込み」という、台の上に均一に広げる作業を行います。種麹と混ぜ合わせるのもこの時です。人の手で少しずつ混ぜていくために粉のようになった小麦が飛んで蔵の人たちは真っ白になって作業をするのだそうです。
   
通常は一回の工程で大豆1トン、小麦1トンを混ぜ合わせ高さ25pほどに盛込みをするそうですが、この時は、新潟県笹神村産の大粒の大豆を使用していたために、35pほどの高さがありました。
   
次に、「手入れ」という作業です。今は下の写真のように機械がローラーで均一にかき混ぜながら行いますが、昔は手で少しずつほぐしながらきちんと発酵するように混ぜていったのだそうです。

れが「手入れ」をしているときの原料です。
   
丸大豆と挽き割りした小麦が混じっている状態で、ちょうど種こうじが小麦に均一に繁殖し始め、それらが大豆のまわりに張り付いているように見えました。
ここで大切なことは表面だけでなく中の方まで麹菌が食い込むように繁殖させることなのだそうです。
「この工程は、酒造りで言うところの麹米づくりの「突きはぜ麹」の造り方のように最も大切な部分だね」と主人が耳元で話してくれました。
盛込みを済ませたこの原料は、42時間でこうじになります。この作業の間は、こうじ菌を繁殖させるために、泊まり込みで湿度や温度の管理をしなければならず、大変神経を使うところなのだそうです。どうりで、この室に入ってきた時から蒸し暑く感じられたのはこのせいでした。まわりを見れば、壁も天井も大粒の水滴でいっぱいです。まるでミストサウナのようで、ついついダイエットに効くかな?なんて考えてしまう私でした。
階段を下りて裏の方に回るとガァーというすごい音が聞こえてきました。
そばによると話もできないくらい大きな音です。

    …第4話に続く…
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