初めての酒造り体験 取材報告  (by えつこ)

新潟県長岡市  葛g乃川

第 9 話

 浸漬を終わったお米はしばらく休ませます。お米の中に水分が均等に行き渡るようにするためです。
 その後、お米を蒸気で蒸す作業に移ります。小さな蔵では和釜でお湯を沸かして、その上に巨大なセイロを乗せて、その中でお米を蒸しますが、ここでは連続蒸米機を使います。
    
 奥の方に見える長い箱形の機械がその機械です。構造は箱の中を長い網状のベルトがゆっくりと動いていて、そのベルトの上にお米が乗り、蒸気の力で蒸すことで、箱から出てくるときにはお米がちょうど良い加減に蒸されて出てくるのだそうです。所要時間は40分だそうです。
 でも所詮は機械です。熟練の技術者が蒸されて出てくるお米を手に取り、キチンと蒸されているか、お米の用途に応じた蒸し加減になっているか、最初と最後の蒸し加減は均一になっているかなどとキチンと確認しながら作業を行っているのだそうです。
 その時によく使われる方法として「ひねりもち」を作ってみる方法で、蒸し米をひとつまみ、手で押しつぶしてみて芯が残っていないか、しっかり硬めに蒸されているか、目で見て、手で触って感触を確かめ、手に付かないかと色々チェックするのだそうです。
 実際にこの機械が動いて蒸し米が作られている様子は午後から見ていただきますので、次に行きますと連れて行かれた場所は仕込みタンクのてっぺんです。
 ここの仕込みタンクは巨大なタンクで普通の建物だったら4階建てくらいの高さがあります。そこに先程の場所からエアーで運ばれてきた蒸し米(掛米)がタンクの口から勢いよく投下されています。
       
 こうしてみると大して感じないでしょうが、写っているのが1本のタンクです。

 ここに渡ってくるためには、後ろに見える通路を通ってきたのですが、その通路が網目になっていて、なんと地面が丸見え。
 参加者一同「ヒエ〜」と声を出しながら渡ってきたのです。ですからタンクの中を覗いても下の方の発酵表面は見えません。このタンクは仲仕込のため、まだ量が少なく、写真には写りませんでした。
    
 そこで別のタンクの留仕込を終わって6日目のタンクを覗いてみました。量はタンクのほぼ3分の2でしょうか?タンクの中に電灯を垂らしてもらって覗き込んでみました。
 2〜3メートル下に発酵表面が見えます。
 小さな泡がフツフツと湧いているように見えます。でもきっとそばで見ると大きな泡なんでしょうね。
 続いて、仕込み開始後9日目のタンクを覗いてみました。
    
 先程より大きな泡が盛んに立っています。この位の時が最も盛んに発酵が進んでいて、アルコール分は約8%から10%で、香りはリンゴのような香りがして、1日で大体2%くらいアルコール度数が上がるそうです。ちなみにこのタンクは普通酒を造るタンクで容量は27トンだそうです。
 ふと、ここで疑問に思うことが出てきました。ここでは仕込の時に最初の「添仕込」の時だけ櫂入れをすると言っていましたが、こんな大きな4階くらいまであるようなタンクでどうやって櫂入れをするのでしょうか?
 地下鉄は地上の線路からトンネルで地下を通るようになりますが、こんな深いところまでどうやって櫂棒を入れることができるのでしょうか?
 だってタンクの上はすぐ屋根になっています。それを考えると夜も寝れなくなりそうです。
    …第10話につづく…

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