おしゃれな欧風ワイン蔵 取材報告  (by えつこ)

新潟県巻町  カーブドッチ ワイナリ

第 6 話

それではいよいよ製造工程順にお伝えします。まずここでは1日に6トンの葡萄を処理することができます。畑からコンテナに入れられた葡萄が届くと、まず葡萄を処理する機械がある建物に運びます。その建物は駐車場から見ると最も右手奥にあります。
建物のすぐ外。外と言っても屋根が伸びていてひさしの下ということになるのですが銀色の四角い箱があります。これが除梗破砕機(じょこうはさいき)。
   
あいにく今日は葡萄の入荷が無く、機械は止まっていました。しかし、そのお陰で、その機械の内部を見せてもらうことができました。
まず運ばれてきた葡萄はこの機械の左上からそのまま投入されます。すると機械内部右側についている円筒形の網目の大きなザルのような所に入ります。
   
この円筒の中は、内側に回転軸の中心から短い鉄の棒がいくつも突きだしていて、外側の円筒と鉄の棒が高速で逆に回転します。すると葡萄がぐちゃぐちゃにつぶれ、皮と実と種と葡萄の汁が円筒の編み目から外に出て、房に付いていた枝の部分だけが円筒の中に残って右側の排出口から外に出てきます。
   
この皮と実と種と葡萄の汁が混じった物を「マッシュ」と呼び、機械の下に接続してある太いホースを使って建物の中に送られます。

それでは建物の中に入ってみましょう。
   
建物を入って右側、鉄骨で組んだ台の上に大きな横向きの金属製のタンクが2台並んでいます。これがホースで送られてきた「マッシュ」が入る撹拌(かくはん)タンクです。
このタンクは赤ワインを造るときだけに使い、赤ワインは、この「マッシュ」の状態で発酵を始めることになります。皮からは成人病に良いとされるポリフェノールを含む赤い色素が、また、種からは渋味が発酵に加わり、約10日程度、この中で温度を調整しながら発酵させます。ちょうど昨日投入した物が右のタンクに入っているとのことで、普通はそこまで見せていただくことなどないのですが特別に今回だけご厚意で覗かせてもらうことになりました。
細いハシゴを登るとタンクの上部に投入口がありました。
わかりますか?あの高いタンクの上に登っている中沢さんと私。高さは2階の窓より高く、足場も小さくてちょっとスリルがありましたが高所恐怖症の主人と違って私は平気。下の主人が小さく見えます。
さて、初めての体験。普通はここまで見せてもらえません。きっと最初で最後の本当に貴重な体験です。
以前、岩の原葡萄園から始まって数カ所のワイナリーを見学させてもらっても、仕込の最中は部外者立ち入り禁止で製造現場にすら入ることができなかったり、あまりにも巨大でタンクに登ってまで見るなど想像すらできなかったのです。ここまで見せてもらうことは本当にまれで、非常に好意的な待遇です。これは感謝して覗かせてもらわなければと投入口に顔を近づけました。
ところが覗き込もうとしたその瞬間、ガツンと衝撃を受け、思わず後ろにのけぞってしまいました。
    …第7話につづく…

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