おしゃれな欧風ワイン蔵 取材報告  (by えつこ)

新潟県巻町  カーブドッチ ワイナリ

第 4 話

庭に面して別の建物がありました。ここは現在のホールで、ここでレストラン・ウェディングパーティーをしたりできるそうです。ヨーロッパ中世の建築様式を取り入れ、吹き抜けと回廊が空間の広がりを演出するようになっているようです。
   
他の利用法としてコンサートやお食事会、発表会などに利用できるそうです。
さて、この後は最初の事務所のある建物に戻って発酵タンクの説明からしてもらったのですが、お読みになる方に分かり易いように順番を製造工程順に編集してお伝えしようと思います。
そもそも、この新しいワイナリーがいつ、なぜここにできたのか。その辺からお話を始めましょう。
この会社の社長は越智(おち)さんという方で鹿児島生まれで北海道育ち。大学は東京外語大学出身。
その後、国内を問わず海外でもワイン造りにたずさわり、自分でワイナリーをつくるために日本国中の適地を物色し、当地には全く縁もゆかりもなかったのですがワインづくりの環境を考え、この場所に決定したのだそうです。
その決め手となった環境とは、夏は暑く、冬は寒い。1日の中でも昼は暑く夜は寒く、寒暖の差が大きい。雪が少なく、降水量も少ない。土地は肥えた土地ではなく、水はけがよい土地。まだ、他にも条件があったと思いますが主にこんな条件が葡萄造りには適している環境なのだそうです。
そういえば、ここ新潟は夏はフェーン現象で温度の高い日が続きます。そして、ここは海岸に近いため、冬はシベリアからの冷たい風が強く、寒い日が続きます。そして中沢さんの話では夏でも夕方4時といったら涼しい風が吹き始め、夜はとても過ごしやすくなるそうです。海岸近くに発生する海陸風のせいでしょうか?それから新潟でも海岸近くはほとんど雪も降りません。そして土地はやせた砂丘地帯。
条件はぴったりです。

1992年の春。初めて葡萄を植えてから年を経て畑がワイン蔵をぐるりと囲むようになりました。苗木から丹精込めて育てられ、現在は自家葡萄畑が6ヘクタール。
苗木の本数も約1万4〜5000本になり中庭の南側を中心に葡萄畑が広がっています。
   
この畑は高さ約2メートルのドイツ様式の垣根式栽培をしていて、南北に長さ100メートルも続いています。垣根の間隔は2.5メートル。これは作業をするトラクターの幅を考えてこの幅になっているのだそうです。
   
苗と苗の間隔は1メートル。つまり1つの垣根に100本の苗が杭と針金でできた垣根に這わせられているのです。
   
葡萄にとって土に栄養がありすぎると、木ばかりが大きくなって葡萄にとってはあまり適当とは言えません。少し厳しいくらいの方がワインにとって良い葡萄となります。ここは砂地。ほとんど栄養がありません。そこで苗にとっていつ、どんな肥料が必要か。その最低限の肥料を適切なタイミングで与えてやることで、作り手が考えるすばらしいワイン葡萄にしようと工夫しているのだそうです。
そして水も敷地内の井戸から地下水をくみ上げて垣根に取り付けた散水ホースで与えるようにしています。
散水といってもスプリンクラーではなく、ホースからドリップのように1滴1滴と垂れるように、砂に水分を供給するようにしているのだそうです。
    …第5話につづく…

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